ミスしてやり直すはめになったり、チームメンバーとのやり取りに時間がかかったり…日々のパソコン作業で非効率に感じる場面も多いですよね。このような問題を放置していると、「生産性向上」はできません。
ビジネスパーソンであれば、この「生産性向上」という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、生産性向上の意味については良く知らない方も少なくありません。生産性向上は経理などのホワイトカラー的な業務だけでなく、最近では営業のような業務にも多く取り入れられています。
企業が生産性向上を成功させるためには、正しい取り組み方を知っておく必要があります。そこでこの記事では、「生産性」の意味から生産性向上させるためのポイントまで、幅広く解説します。企業の利益拡大したい方はぜひ、この記事を読んで正しい知識を身に付けておきましょう。
そもそも生産性とは
まずは、「生産性」という言葉について解説しましょう。生産性とは、「かかったコストに対して、どれだけ成果を生み出せたか」という指標のことです。式で表すと、以下のようになります。
[生産性] = [生み出せた成果] / [かかったコスト]
ビジネスでいうところの「成果」とは、商品やサービスといった企業の売り上げにつながるもののこと。成果の表し方には製品の生産数といった「数量」と、売上額といった「金額」の2種類があります。
また、「コスト」とは設備投資費や材料費、光熱費といったビジネスを行うために発生する費用を指します。コストには、社員の労働に対して発生する「人件費」も含まれるので注意が必要です。企業で単に「生産性」と言う場合、社員の労働時間に対する成果である「労働生産性」を指すのが一般的です。
生産性向上とは、具体的にどういうことか
では、ビジネスにおいて「生産性を向上する」とは具体的にどういうことなのか、解説しましょう。たとえば受注処理の仕事で、ある社員が1時間かけて10件の注文データを処理していたとします。また、1件の処理あたり100円の利益を生み出せるものと仮定します。
この社員の場合、1時間あたりの生産性は100(円)×10(件) / 1(人)×1(時間) = 1000となります。つまり、1時間で1000円の利益が生み出せるという意味です。
次に、この社員がスキルアップして1時間に20件の注文データを処理できるようになったと考えましょう。この場合の生産性は、100(円)×20(件) / 1(人)×1(時間) = 2000となります。生産性が1000→2000と変化したので、2倍に生産性向上できたことになります。
なぜ、生産性向上が求められているのか
前章の例からも分かる通り、生産性向上すると同じコストでもより多くの成果を得られるようになります。そして、生み出せる成果が増えれば利益も上がりやすくなるのは、どの企業も同じです。よって、生産性向上の最も大きな理由は利益を上げることと言えます。
また生産性向上は見方を変えれば、「1つの成果を生み出すために必要な労働時間を削減できる」とも考えられるでしょう。つまり少ない労働時間でノルマを達成できるため、社員の負担を減らせます。「働きすぎ」が問題視されている現代の日本にとって、生産性向上は社員を守ることにもつながることは間違いありません。
生産性向上によって利益を向上できれば、社員の給料アップにもつながるかもしれません。このように生産性向上は企業にとっても社員個人にとってもメリットが大きいため、個々の社員が取り組みを行うべき目標となっています。
生産性を向上させる取り組み
生産性は「成果」と「コスト」の2要素から算出されます。よって、生産性向上のために必要な取り組みは、大きく分ければ以下の2種類です。
- コストを削減する。
- 成果をより多く生み出せるようにする。
詳細は、ひとつずつ解説しましょう。
コストを削減するためには
成果1つあたりに必要となるコストを減らせれば、生産性向上できます。コスト削減と言えば、光熱費や材料費をイメージする方が多いですよね。しかし、これらによって削減できるコストには限度があり、大幅なコストカットは期待できません。
コスト削減のために最も効率的なのは、人件費の削減です。特に、社員同士の情報共有には無駄が発生しやすく、人件費がかさんでしまう大きな原因となります。電話やメールのやり取りでは情報共有に時間がかかるだけでなく、誤解が発生して大きな手戻りとなる恐れも。
このような情報共有の無駄を解消するのにおすすめなのが、グループウェアです。グループウェアはオンラインで予定や作業進捗などの情報を共有・管理できるソフトで、多くの企業で導入されています。電話やメールと比べて格段に効率的なうえに、在宅ワークでも使えるためさまざまな働き方に対応できるのが大きなメリットです。なお、グループウェアに関しては以下の記事でも取り上げています。合わせてご覧ください。
成果をより多く生み出せるようにするためには
1人あたりの社員が同じ時間内に生み出す成果を増やせれば、生産性向上できます。社員の成果を増やすために最も効率的な方法は、定型作業を自動化することです。特に人間のパソコン作業にはミスが発生しやすく、余計な時間がかかることも多いですよね。
成果を生み出すために必要となる定型作業は、システムで自動化することで格段に効率化できます。それを可能にするのがRPA(Robotic Process Automation)と呼ばれるソフト。RPAは人間が行ったパソコン操作を記録して、繰り返し再現することで自動化します。
RPAによる自動処理は、人間の手作業に比べてはるかにスピーディですし、ミスも発生しないので効率的に成果を生み出せます。しかも、複数の業務ソフトを組み合わせた一連の作業でも自動化できるので、多くのビジネスシーンに活用できるでしょう。おすすめのRPAは以下で紹介しています。
仕事をサクサク終わらせよう!RPAをはじめとする業務効率化ソフトまとめ
生産性向上の取り組みに成功した企業の事例
この章では、生産性向上に成功した企業の取り組みを「コスト削減」「成果アップ」の2ケースに分けて、それぞれご紹介します。
コスト削減事例:ファイザー株式会社(製造業)
ファイザー株式会社は、世界的に有名な医薬品メーカーです。世界中に拠点が存在するため、膨大な新入社員への教育に人件費がかかってしまうという課題がありました。
そこで教育コスト削減のために取り組んだのが、e-ラーニングシステムの導入です。新入社員がオンラインで教育を受けられるようにしたことで、新人教育に大量の社員をアサインする必要がなくなりました。結果として、導入から1年ほどで約160万ドルものコスト削減に成功しました。
成果アップ事例:住友林業情報システム株式会社(情報通信業)
住友林業情報システム株式会社は、住友林業グループのシステム運用を行っている企業です。こちらの企業では毎日大量の注文データを取り扱いますが、人間の手作業では効率的に処理できないという課題がありました。
そこで注文データの処理効率をアップするために取り組んだのが、「BizRobo!」と呼ばれるRPAシステムの導入です。このRPAによってダウンロードやチェック作業を自動化することで、大量の注文データを短時間で処理できるようになりました。結果として1年あたり約14,000時間もの余力を確保でき、さらなる事業拡大に成功しました。
生産性向上を成功させるためのポイント
生産性向上させるためには、ある程度の初期投資は必要になることがほとんどです。とはいえ企業のリソースには限りがあるため、最初は取り入れやすく効果が出やすい取り組みから行うと良いでしょう。その中でも、先ほどご紹介したグループウェアやRPAといったソフトの活用がおすすめです。
ただし、いきなり全社的にソフト導入などの取り組みを行うと通常業務への影響が大きく、スムーズに移行できないリスクも。最初は1部の部署などに限定して取り入れていくのが、リスクが少ないでしょう。そして、生産性向上の取り組み方が分からず困ったら、コンサルに頼るのもひとつの手です。
弊社では、企業様がRPAソフトを導入するためのお手伝いをしています。企業に合ったRPAソフト選びや効率的な活用の仕方など、しっかりサポートいたします。RPAソフトを導入して生産性向上したいとお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
さて今回は、生産性向上させるために必要な情報について一通り解説しました。内容を振り返りましょう。
・そもそも生産性とは、かかったコストに対して、どれだけ成果を生み出せたかという指標
・生産性向上とは、1時間かけて処理できる注文データ数が10件→20件に増えれば、生産性は2倍という意味合い
・なぜ、生産性向上が求められているのかは、企業の利益向上や、社員の負担軽減にある
・生産性を向上させる取り組み
①コスト削減⇒グループウェアの導入により人件費を削減するのがおすすめ
②成果アップ⇒RPAの導入により定型作業を自動化するのがおすすめ
・生産性向上の取り組みに成功した企業の事例
①ファイザー株式会社⇒e-ラーニングシステムの導入により教育コストを大幅に削減
②住友林業情報システム株式会社⇒RPAの導入により注文データの処理を効率化
・生産性向上を成功させるためのポイント
①最初は取り入れやすく効果が出やすい取り組みから行う
②最初は一の部署などに限定して取り入れていく
生産性向上はどの企業にも求められる目標ですが、正しい知識を身に付けることが大切です。生産性向上によって企業の利益拡大したい方は、ぜひRPAをはじめとした業務効率化ツールなどを導入しましょう。