昨今の社会情勢に対応するため、最新のIT技術を活用した業務のデジタル化「DX」の必要性を強く感じている方も多いですよね。DX推進するとなると一般的なシステム導入とはまた異なるので、どんな点に注意しておくべきか、気になっていませんか。
DXは社会や業務環境を飛躍的に変えることになるため、人々に大きなインパクトを与えます。結果的には好ましい結果になるのですが、変化の過程で動揺したり、抵抗感を感じる人も出てきます。そのようなことに対処したり、うまく順応していくには、DX推進についてや摩擦を少なくする方法を知りたいですよね。
そこで今回はDX推進とその意義から、障壁などの問題点も含めDX推進について解説します。DX推進により、自社のIT環境をアップデートし、うまく時代の流れに乗りましょう。
「DX推進をする」とは何なのか
「DX推進」といっても、具体的にどういうことかピンとこない方もいるかもしれませんよね。まずはDX推進の前提となる「DX」を確認し、次に「DX推進」とその具体例を紹介しましょう。
そもそもDXとは
DXの定義はさまざまありますが、企業におけるDXとはITを活用した新ビジネスの創出、業務プロセスの変革、企業のありさまが変化することを指します。たとえば、GAFAに代表されるIT企業の隆盛、OCRによる紙の書類からシステム処理への業務変更、テレワーク・在宅勤務をはじめとした多様な働き方の受容があげられます。
ただし、日本では経産省が古いシステムによる企業の競争力低下を懸念しており、新しいIT技術や組織への変更をうながす象徴的な言葉として使われてもいます。いずれにせよ、時代の流れに応じてIT技術を取り入れる、つまりDXが必要なのは避けられません。
DX推進するとは
DX推進とは新しいIT技術の活用だけでなく、組織のありようや社員の変容も促すことです。新しいシステムを導入し、従業員がうまく使いこなすだけでは単なる業務のデジタル化にすぎません。
たとえば自社の課題に人手不足の軽減や市場環境への適応があるとして、業務の効率化や営業力の強化をはかる必要がありますよね。IT活用と人員養成のセットで自社の戦略課題を解決に向けるのがDX推進といえます。
もちろん国が懸念するように、古かったり、独自性が強いシステムの継続利用による弊害から脱却することもDXです。業務停滞のリスクを回避するためにも、古いシステムに関しては廃止や代替措置を講じましょう。
なぜDX推進が求められるのか
DX推進の目的は「デジタル負債」の削減と市場適応にあります。老朽化した業務システムを問題視されている方や、ITによる市場環境の変化に直面している方もいますよね。なぜこのようなことが起きるのか、その理由を解説しましょう。
デジタル負債に対応するため
デジタル負債とは、運用コストがかかってメンテナンス不能な古い業務システムが、将来多大な費用とリスクを発生させることを意味します。長年使い慣れたシステムの利用は問題ないと考えがちですが、実は放置すると経営を揺るがしかねません。なぜなら古いシステムは更新やセキュリティサポートの終了によるリスクに直面し、万一トラブルが生じると業務停止のリスクをはらむからです。
自社ではシステムに依存する業務はなくても、社員個人が作成したExcelツールが業務プロセスのかなめになっていることはありますよね。こういった属人性が高くメンテナンスが困難なツールは早急に代替措置を講じましょう。
ITによる市場環境の変化に対応するため
DXはもともとITによる大きな変化を指し、スマホやSNS、ネット通販による社会慣習や事業環境の大きな変化は誰でも感じていますよね。昨今では、社会情勢の変化にともなうテレワークやペーパーレス化がわかりやすいでしょう。今まで紙の書類を介したり直接相対してやり取りしていたのが、メールやビデオ通話に切り替わりました。
ほかにも、現代のITの潮流には、大量データの処理や大容量通信、自動化システム、AIがあります。これは業務の飛躍的な能率化と省力化を進め、ビジネスのスピードアップをもたらすでしょう。裏を返すと、この流れに乗り遅れると他社に差をつけられるだけでなく、将来的に採算割れとなり事業が立ち行かなくなることも考えられます。
DX推進を阻む壁とは
DX推進の重要性がわかっていても、今は方法を模索中で方向性すら決まっていないという企業もあるでしょう。具体的なDX推進を策定するため、まずは推進ができない原因を知り、自社の課題として設定してみるのも一つの方法です。
DX推進の障害となる主な原因や背景をあげるなら、以下になります。
- 既存システムの実態が不明
- 社内のIT人材の不足
- 体制刷新に踏み切れない
システムのブラックボックス化
業務システムの導入・運用を各部門や現場に許可ているのにもかかわらず、業務はもちろん、システムの利用自体が特定の人にしか仕組みがわからないため、実態がわからず手がつけられない状態になっている場合、改善策が出せません。
さらに、業務システムを実質的に構築・運用していた社員が現場を離れ、システム構造の把握どころか、メンテナンス自体が不可能になっているケースもあります。
デジタルに関する社内人材の不足
仮にシステムの構成が文書等で確認できても、それを理解できるIT人材が社内にいないケースもあります。特に中小企業においては、現行業務に必要な最低限の人材のみで余裕がないというところも多いでしょう。
既存の社内体制を刷新できない
DXのための投資やIT活用ノウハウの獲得にはある程度のコストがかかります。また、今の業務とどう橋渡ししていくか、既存システムとのデータ連携の問題もあります。
DX推進を阻む壁に立ち向かう方法
では、DX推進に立ちはだかる壁はどのように超えていけばよいのでしょうか。DX推進に関わる問題解決として、以下の方法が考えられます。
- 社内人材の登用、ITコンサルタントの活用
- 業務コンサルタントに課題を切り分けてもらう
- 推進チームの編成と責任分担の割り当て
人材登用と社外人材を招く
DX推進に必要だが、どうしても不足するIT人材は社内人材を抜擢したり、社外人材を活用するのも一つの手です。たとえば、有能な若手社員を教育・登用したり、最新システムに詳しいITコンサルタントに相談してみるのも一つの方法です。
推進体制と責任分担の設定
DX推進のため、必要性を啓蒙しているだけでは具体的な進展は望めません。DX推進を実行する社内チームの編成と、誰が何を担当するかの役割分担と責任を明確に定めないと、問題がどんどん先送りされてしまいます。
例えばトップが方針を定め、現業部門と切り離した形で組織編制するほうが反発を受けにくく進めやすいでしょう。
業務コンサルタントに調査分析を依頼する
DX推進が実現できないのは、自社の課題が複雑化しており、なかなか解決策が見つけられない点にもあります。DXを推進できる状態に持っていくためには、現行プロセスの可視化と課題の切り分け、そして解決可能な方策を導き出すことです。もし忙しくて手が回らない場合は業務コンサルタントに依頼して調査分析してもらいましょう。
さて、今回はDX推進について解説しました。DX推進とは、自社の戦略課題をITの活用と人員養成のセットで解決に向けることです。
DX推進の要点は以下の通りです。
【DX推進が求められる背景・その対策】
- デジタル負債による経営圧迫 →高コスト・メンテ不能な既存システムの廃止
- 市場環境の変化に対応→競争力維持のため最新ITの導入・活用
- 現行システムのブラックボックス化 →専門人材による調査、対応
- 社内のIT人材の不足 →人材確保・育成・登用、コンサル利用
- 社内体制の刷新が困難 →業務コンサルの利用、推進体制の整備
この記事を参考にすれば、自社のDX推進の道すじを描けること間違いありません。なかなかDXが推進できないのは、取りかかるための前提条件がまだ整備されていないからです。自社の力だけでは難しいと感じているならば、コンサルタントなど外部人材の活用を検討しましょう。
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